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本殿は60キュビト×20キュビト、高さ30キュビトで、それに拝殿や付属舎がついて、神境は400キュビト平方(約1万坪)あった。
1キュビトは約50センチメートルである。 建設費はいまの金額にして5兆円もかかったという。
ソロモン王はイスラエルの全土からおよそ3万人を徴募し、奴隷15万人を使役した。 旧約聖書『列王記上巻』には、監督の役人が3300人もいたと記されている。
これほど大勢の作業員が、広いといっても200メートル4方の境内に入れるわけはない。 また、神殿の聖境は選ばれた人しか入れないので、石や木を彫刻したり青銅を鋳造するというような仕事は、すべて別の工場、つまり工作場でなされた。
聖域ではただそれを組み立てるだけの作業になっていた。 そのため、現場は怪しまれるほど静かであったと聖書に記されている。
昔もいまも、設備の整った工場で入念に加工したもののほうが、現場のありあわせの道具で間にあわせた仕事よりも、質のよいものが製造できることに変わりはない。 神殿は何千年も語り継がれるほどのできばえになった。

神殿のインテリアは、彫刻された香柏の板に金をはったものが用いられた。 また什器類もダビデ王以来入念につくられた純金製のものがほとんどだったようである。
これらのものはすべて現場で加工できるシロモノではなく、練達の職人が設備のよい工場でしか製造できない、上等なものなのだ。 そして、それを現場に運び込むという方式を用いたのである。
ところで、日本でも先年、新皇居がつくられた。 皇居内の工事となると、どうしても作業員が限られることになる。
そこで造作などはほとんど建設会社の工作場で仮組み立てしたあと、それをいったん解体して皇居内に搬入し、再び組み立てていた。 皇居内では組み立てと仕上げだけだから、限られた人数でしかも現場施工の期間が短く、文字どおりのブレーファブリケイテッド工法だった。
プレハブという工法が本来的には品質のよいものをつくるシステムであったことは前項のとおりである。 しかし、現代のプレハブ住宅は一般的にマスプロを目ざした建築生産的な面からとらえられているといってよい。
洋服を例にとれば、注文住宅はオーダーで、プレハブはイージーオーダー、建売住宅は既製服であり、中古マンションは古着ということになる。 既製服もある程度までからだに合わせることができるが、完全に一体として機能するところまではいかない。

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